マリみての終幕を予言

拝啓、友人方、お元気ですか?僕は元気です。
マリア様がみてる 妹オーディション』を読みました。
長く続いた『マリア様がみてる』シリーズですが、
もう終わってしまうのかなと思い、少し物悲しくなってしまいます。


マリア様がみてる 20 妹(スール)オーディション (コバルト文庫)
マリア様がみてる』は、祐巳が体験する出来事を通して、
読者に驚きや発見などの刺激を提供するというのが大きな筋になっています。
そして、特筆すべきは「妹(スール)制度」というシステムで、
これが、一般のマンガでは主題となりやすい「恋愛」の代わりをしています。
つまり、この小説は、祐巳が体験するスール絡みの出来事なくしては成り立ちません。


祐巳が体験するスール絡みの出来事として、
初期の頃は「祥子さまと祐巳の関係」でもって話が進んでいました。
ですが、今では二人の関係は安泰し、次の話題「祐巳の妹」の話に移っています。
そして、そのテーマも終わりへと確実に進んでいて、
祐巳の妹候補としてライバルだった細川可南子の脱落が決定し、
あとは松平瞳子といかにくっ付くかというところまで話が進んでいます。


私は、祐巳瞳子とくっ付いたところで『マリア様がみてる』が終わるのだと思っています。
なぜなら、祐巳がお姉さまとして描かれることはないからです。
ライトノベルに限らず、読者への娯楽として最も重要なのが「新しい刺激」です。
一度経験した学校行事を、今度は落ち着いた立場である上級生の方から描いたとしても、
新しい刺激があるとは思えません。
学校行事は上級生が下級生を振りまわすものです。
祐巳が慌てふためかないと小説が成り立たないのですから、
祐巳が上級生になってしまっては不可能です。
また、初期の頃の「祥子と祐巳の関係はどうなるのか」という惹きつけよろしく
祐巳瞳子の関係はどうなるのか」という惹きつけは、
祐巳が上級生であり、瞳子に振られるという場面は考えづらいという点、
また、祥子と祐巳の関係と違って、
今までの小説から祐巳瞳子が上手くいった場合の想像がた易いという点から無いと思います。


作者も、由乃の妹問題や可南子のその後、蔦子問題、真美の妹など、
広げていた風呂敷を次々とたたみ、気が付けばずいぶんとシンプルになりました。


次の巻で、短編の整理と、今まで登場したキャラクターを再登場させてその後を描き、
さらにその次の巻を最終巻として、祐巳瞳子に関する話を大々的に扱い、
そのエンディングに祥子の卒業をもってきて、祐巳がひとり立ちして終わるのではないかと思っています。


もう「祐巳の妹はどうなるの」で話を引っ張るのは限界です。これ以上は読者が我慢できません。
というか僕が我慢できません。
これだけこの話題を引っ張る点をみても、マリみての終幕を感じさせます。
余談ですが、祥子は卒業後の進路を、出来るだけ祐巳から遠いところ、
ずばり海外留学にするのではないかと思っています。
中途半端に祐巳と近い場所にすると、そのまま物語が続きそうな感じがして、
すっぱりと終わらないと思うからです。
最後に大穴として『キャプテン』現象の可能性を示唆しておきます。
いわゆる、主人公が代替わりするという不思議な現象。
まぁ無いと思いますけど。